17年度セミナー

ごみをどうする? ~ごみ処理から生じる環境汚染物質~ 2006年2月号

1月21日(土)、関口鉄夫さんを講師に迎え、第3回ゼロ・ウェイストセミナー「ごみをどうする?~ごみ処理から生じる環境汚染物質~」が開かれました。
関口さんは、医学研究所の研究員や大学の講師を務められながら、長野県を中心とした全国のごみ問題、特に田舎の小さな住民活動に長く関わってこられました。その経験から、ゴミをはじめとする私たちをとりまく環境の問題について、様々な角度から分かりやすく解説していただきました。
例えば、塩素を含むごみを燃やしたときに生じるダイオキシンの危険性は非常に大きく取り上げられています。事実、ダイオキシンは血液を介して母親のおなかの中の胎児に影響を与えます。大人の体の大きさで問題が起きない量でも、小さな胎児の体にはとんでもない量になってしまうことから、許容量は胎児の体の大きさを考えるべきだとおっしゃられました。
しかしこのダイオキシンだけが有害だというわけではありません。ダイオキシンの危険性はごみを燃やしたときに発生する全ての有害なガスの十分の一にすぎず、他にも多くの有害物質が生じているにもかかわらず、このことはダイオキシンに比べて取りざたされていません。このように私たちが環境問題について「知ってるつもり」の情報は非常に偏っており、正確な情報を得ることが必要だとおっしゃられました。

semina-3.jpg

他にも、ごみの不法投棄や埋立地の欠陥によって川に流れ出た汚れは、川や海の魚をはじめとする生き物に取り込まれ、濃縮され、結局私たちの食卓にもどってくることを指摘されました。見えない危険が現代の生活には潜んでいるのです。
このように、さまざまな情報が溢れ、また問題自体が見えにくい環境問題に私たちはどう取り組めばいいのでしょうか?それは、「現象と原因をきちんと分けて考える」ことだと関口さんは強調されました。例えば、関東のある街では、栽培していたミカンの皮がただれていました。その原因をきちんと調べていったら、実はごみ焼却炉のばい煙がその原因だったということがありました。そうして突き止めた原因を取り除くために、原因を引き起こした人や組織に問題がなかったかを考えて問題を解決していかなければなりません。
一度悪い環境がつくりだされてしまうと、その解決には長い時間と労力が必要です。では、良い環境をつくるためにはどうすればよいのでしょうか?それは、その土地のことをよく知り、かつ高い理念を掲げることだと関口さんはおっしゃいました。上勝町のゼロ・ウェイスト(ごみゼロ)宣言についても、問題が起きる前に予防するという原則にたっており素晴らしいと賛同してくださいました。

ゆっくり生きる~スローライフとGNH(国民総幸福)~ 2006年4月号

semina-.jpg  semina-2.jpg
去る2月19日に第4回ゼロ・ウェイストセミナーが、続いて2月28日には第5回ゼロ・ウェイストセミナーが開かれました。

「ゆっくり生きる~スローライフとGNH(国民総幸福)~」と題した2月19日のゼロ・ウェイストセミナーでは、明治学院大学教授で環境活動家の辻信一さんをお招きして、 これまでのセミナーとは趣向を変えた「座談会」を開きました。辻さんをはじめ、九州の福岡からおいでになった中村隆市さん、町内から田中貴代さん・渡部厚子さん・滑川達さんが 会場の中央でこたつを囲んで「スローライフ」についてお話しすることに60名の参加者が耳をかたむける、暖かい雰囲気の会になりました。
辻さんからのお話については、冊子「くるくる四号」をご覧ください。
続いて2月28日には、「わくわく!自然エネルギーがつくる未来」と題して、フリーライターの佐藤由美さんにご講演をいただきました。佐藤さんは日本だけでなく、開発途上国を中心に世界中の環境問題・エネルギー問題について取材されている方です。
佐藤さんは、ネパールで女性が川を渡って木を運ぶ厳しい仕事をしている写真から、「エネルギー問題は女性問題である」という現実、そして「エネルギー問題だけを考えていてはエネルギー問題は解決しない」という世の中のしくみについてお話になりました。
また、ネパールでの小規模な水力発電やドイツの風力発電の事例などを紹介され、自然エネルギーの持つ大きな可能性と、石油に頼った社会の限界について強調され、石油の価格を高くして自然エネルギーの価格を安くする政策の必要性を訴えられました。