ゼロ・ウェイストへの道2

連載シリーズ2 第1回

[ごみ? 資源?] 2006年9月号

日ごろは上勝町のごみ減量や分別回収にご理解、ご協力いただき誠にありがとうございます。今月号より全6回を予定して、「ゼロ・ウェイストへの道」と題したごみ分別についてより分かりやすい説明や解説、またみなさんの日ごろの疑問にお答えする「ごみ分別Q&A」のコーナーを掲載することになりました。今月は、日比ヶ谷で分別したごみっていったいどのように活用されているの?本当にリサイクルされているの?という皆さんの疑問にお答えします。
「ごみ」と私たちが一口に呼んでいるものには様々な物があります。ペットボトルに空き缶、新聞紙、ティッシュペーパーなど、すべて合わせると上勝からでるごみの量は1年間に約350トン、ジャンボジェット約3機分の重ります。しかし、これらは町民の皆さんにとって不要になった物の量であって、全てが本当の意味での「ごみ」ではありません。回収された後にそれぞれに活用される方法があり、日比ヶ谷ゴミステーションで回収された350トンの内、約8割の物が全国各地の工場に送られ、新たに資源として活用されているのです(=リサイクル)。約8割という数字は、平成16年度において全国3位であると環境省より発表されました。
それでは一体何に生まれ変わっているのでしょうか?左ページの図をご覧になってみてください。1つ1つの種類・素材ごとに分けることで、様々な物を作ることができます。町民皆さまの細かい分別作業が、このような形で限りある資源の有効活用に大きく貢献しています。今後ともご協力のほどよろしくお願い致します。

[分別Q&A]

Q. ハンガーって何ごみ?
A. ①プラスチック製のハンガーは「燃やさなければならない物」です。よく間違えて「プラ」として出されていることが多いですが、「プラ」として出せるのはプラスチック製の 容器包装のみ です。ハンガーやストローなどはプラスチックでできていても、 「容器包装」ではなく「製品」になる ので、「プラ」ごみとして出すことができません。
②針金のハンガーは、ライターを入れる箱の横にある「金属」と書いた箱に入れてください。
③まだ使えるハンガーは、「くるくるショップ」に置いてください。
Q. 防腐剤って何ゴミ?
A. 防腐剤は現在リサイクルされる方法がありません。残念ながら「燃やさなければならない物(燃やすごみ)」の袋に入れて出してください。
Q. どうして空き缶やビンは中を洗わないといけないの?
A. タバコのすいがらや紙などの異物が混じると、再生品の品質が悪くなる可能性があります。また、ジュースなど飲料の匂いが残っていると蜂などが寄ってくるため、ゴミステーションでの作業が危険になってしまいます。ご協力よろしくお願いしますね。
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連載シリーズ2 第2回

[プラスチックってどうなるの?] 2006年10月号

「ゼロ・ウェイストへの道」第2回は、プラスチックのリサイクルについてのお話です。

お店で何か商品を買うとよくついてくるのが、プラスチックでできた「容器・包装」です。店員さんが商品を入れてくれる袋を始め、お菓子の包装、卵のパック、スプーンが入っている小さな袋など様々なものがあります。こういった物は「プラスチック製容器包装類」と呼ばれ、いわゆる「プラ」の分別になります。
「プラって分けてもどうせ燃やすんでしょ?」と聞かれることがありますが、町民の皆さんが丁寧に分別してくださったプラスチック製容器包装類は、新たな資源として再活用されています。ゴミステーションで回収、圧縮された後、福川の倉庫に十輪トラックがいっぱいになるまで(写真)約六ヶ月間保管され、今年度は北九州市にある製鉄所に運ばれています。
製鉄所では、海外から輸入した「鉄鉱石」を「鉄」にするために「コークス」を使って化学反応を起こしています。プラスチック製容器包装類は、この「石炭」と同じ働きをし、「酸化鉄」から鉄を作り出すのに再活用されているのです。

ところで、このような再活用ができるのは「容器・包装」に限られているのをご存知ですか?同じプラスチックでできていても、「商品そのもの」は「プラ」として回収してもらえません。例えば、ジュースにストローが付いていることがありますね。その場合、ストローの袋は「プラ」の分別になりますが、ストローは「商品そのもの」で「包装」ではないので上勝では燃えるごみになります。どうしてこのようなことが起こるのでしょうか?

家庭からでるごみのなかで、「容器・包装」は大きな割合を占めると言われています。その対策として、「容器包装リサイクル法」という法律ができ、「容器・包装」の製造者がそのリサイクル費用の一部を負担するという仕組みができました。そのために、「容器・包装」以外の物はこの仕組みで回収することができないのです。

できてしまったごみを分別してリサイクルすることはとても意義のあることです。しかしそれと同時に、複雑な制度や仕組みの確立が必要でもあります。やはり使い捨ての物は初めから使用を避けるのが良いのかもしれませんね
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[分別 Q&A]

Q 近頃よく耳にする「マイバッグ」ってなんですか?
A お店のレジでもらうビニールの袋や紙袋の無駄遣いを減らすために、買い物の時に持って行く自分の鞄や袋のことです。マイバッグを使うことで、 1人あたり1年間に1,250枚のビニールの袋と、116枚の紙袋がいらなくてすむようになると言われています。(1つのマイバッグを5年間使った場合*)ビニール袋が減ると、分別も少し楽になりますね。気が付いた時だけでも、マイバッグを始めてみませんか?
(*『ゴミ問題とライフスタイル』より 高月紘著 日本評論社)

 

 

連載シリーズ2 第3回

[白トレイのリサイクル] 2006年11月号

ゼロ・ウェイストへの道連載第3回は「白トレイのリサイクル」についてのお話です。

「リサイクル」と一口に言っても、その内容は様々です。前回掲載したカップ麺の容器やビニール袋のような「プラスチック製容器包装類」は、製鉄工場での還元剤として再活用されていましたね。これらはある物をまた別の用途に使うリサイクルでしたが、今回の白トレイは、白トレイからもう一度白トレイが作られているというお話です。  町民のみなさんが日比ヶ谷ゴミステーションに持ち込まれた白トレイは、大きなビニール袋に移し変えられて、約1年間福川の倉庫に保管されます。その量は、年平均で340キログラムにもなり、倉庫の天井に届きそうなほどです。1枚0.7グラムとすると、1人当たり1年間に243枚の白トレイを使っていることになるのです。物が行き来する現代の生活には欠かせない存在となってしまっていることが見えてきますね。

この白トレイは、トラックで福川倉庫から広島県の福山の工場に運ばれます。工場では洗浄と細かく砕く工程を2度繰り返した後、200度を超える熱で溶かし、それを再びトレイに形成します。そうして再び白トレイとして利用されているのです。

白トレイはポリスチレンという物質でできており、塩素や添加剤が使われていないため、このような白トレイから白トレイを作るリサイクルが可能になっています。と同時に、そのために白色以外のトレイは混ぜてはいけないことになっています。例えば、柄や文字などが印刷されているものは色素が入っているので、もう一度白トレイを作ることができません。また、白色であっても納豆の容器などのように接着剤がついている物は、接着剤のために白トレイを作ることができないそうです。こういった物は「プラスチック製容器包装類」に分別する物となります。

このように、白トレイは再び白トレイとしてリサイクルされているわけですが、洗浄・破砕・形成に多くの水・エネルギーを使うこともまた心に留めておかなければなりません。そもそも白トレイを使わなくてもいいように知恵を絞ることが、これからは必要なことです。例えば、昨年度から上勝町夏祭りでは洗って再び使える食器が使われており、傍示地区など地域のお祭りでも使われ始めました。このような取り組みがさらに広がるといいですね。
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[分別 Q&A]

Q. ガラスビンのラベルは取らなくていいの?
A. 取らなくてもかまいません。引き取り先の工場でシールとガラス部分とは分けられます。 ☆ペットボトルはラベルを剥がして! ペットボトルはラベルを剥がしてください。ほとんどの物に切り目が着いてありますので、剥がしやすくなっています。剥がしたラベルはプラスチック製容器包装類へお願いします。

[ゼロ・ウェイストへの道] 2006年12月号

[ゼロ・ウェイストへの道] 2007年1月号