心臓突然死とAED(除細動器)  上勝町診療所 木下英孝

公開日 2011年02月24日

「心臓突然死は、アッという間に起こるが、アッという間に戻る可能性がある」といわれます。全国で毎日およそ百人が死亡する「心臓突然死」は、救える可能性があるのです。今回は、そのために必要な「AED(自動体外式除細動器)」についてのお話です。

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心臓突然死と心室細動


心臓突然死の原因は、約70%が「心室細動」という不整脈発作です。心室細動とは、心臓の筋肉がけいれんする状態で、血液を全身に送ることができなくなります。そのまま放置すれば、数分後には完全に心臓が止まってしまいます。

心室細動の原因


心室細動の主な原因は、中高年では「心筋梗塞」です。若年者でも「激しいスポーツ」などが原因で起こります。今年の春、県内の高校生が相次いでスポーツ中に心臓突然死しました。いつ、誰に起こるか分からない、誰にでも起こりうる不整脈発作なのです。

AEDで除細動


心室細動から救命する唯一の方法が「電気ショック」です。除細動器による電気ショックで正常な心拍に戻せる可能性があるのです。最近、AEDが急速に普及してきました。昨年7月から医療従事者以外の方も使用できるようになったからです。
心室細動による心肺停止状態になって3分以内にAEDで電気ショックを与えることができたら、7割以上の人を救うことができます。10分以上経過すると、救命できる可能性は1割以下になります。今年2月に大阪でのマラソン大会で、心肺停止になった70歳男性がAEDによって救命されました。先日は、関西国際空港で心肺停止になった33歳の男性がAEDによって救命されました。いずれも現場近くにAEDが無ければ救命困難だったと思われます。

上勝町にAED設置


今年8月、上勝中学校と小学校にAEDが設置されました。めったに使用されるものではありませんが、イザというときのための安心感はグッと高まりました。今後はさらに、人が大勢集まる場所やスポーツイベントに際しては、ぜひAEDを準備したいものです。

AEDの使用法


AEDの使用法は簡単です。「音声案内」に従って操作すれば良いのです。電源を入れて、電極パッドを患者に装着すれば、器械が自動的に心電図を解析してくれます。指示があれば「電気ショックボタン」を押すだけです。正常な人に装着しても、決して電気は流れず、誤作動の心配はありません。

AED使用上の注意


現在使用できるAEDは、対象年齢8歳以上、体重25kg以上に限られます。7歳以下の子供には使用できません。

新しい救急蘇生法


致死的な不整脈発作である心室細動を起こした場合、救命できるかどうかは「そばにいる人による心肺蘇生」と「いかに早くAEDを使用できるか」にかかっています。ぜひ一度、「心肺蘇生とAED」についての講習会を受けられることをお勧めします。

お問い合わせ

本庁 住民課
TEL:0885-46-0111