○上勝町木づかいの景観まちづくり条例

令和元年9月20日

条例第13号

目次

第1章 総則(第1条~第5条)

第2章 景観計画(第6条・第7条)

第3章 景観法に基づく行為の制限等(第8条~第14条)

第4章 景観重要建造物及び景観重要樹木(第15条~第19条)

第5章 景観重要公共施設,景観重要地区等(第20条・第21条)

第6章 表彰及び助成等(第22条・第23条)

第7章 上勝町景観審議会(第24条)

第8章 雑則(第25条)

第1章 総則

(目的・理念)

第1条 この条例は,上勝町のめざす森林資源を活かした持続可能なまちづくりを推進するため,景観法(平成16年法律第110号。以下「法」という。)の規定に基づき必要な事項を定めることにより,町,町民等の協動により先人が守り続きてきた美しい自然や地域の伝統と文化が織りなす景観を後世に継承することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。

(1) 町民等 上勝町持続可能な美しいまちづくり基本条例第2条(3)に定めるとおりとする。「町民等」とは,町民,町内で勤務する者,町内に土地(宅地,農地,山林及びその他の土地をいう。以下同じ。)又は建物等を有する者,事業者及び自治組織をいう。

(2) 景観まちづくり 地域課題を解決し,持続的な循環型社会づくりの推進力となる景観形成を介した美しいまちづくりをいう。

(3) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1項に規定する建築物をいう。

(4) 工作物 建築基準法第88条第1項に規定する工作物のほか,規則で定めるものをいう。

(5) 公共施設等 「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」第2条第1項に規定する施設をいう。

(6) 公共施設等の管理者等 「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」第2条第3項に規定する「公共施設等の管理者等」をいう。

(7) 景観重要箇所 景観重要地区,景観重要地点,景観重要建造物,景観重要樹木,景観重要公共施設の総称で,次に定めるとおりとする。

 景観重要地区 景観計画区域内における重要な地区。

 景観重要地点 景観計画区域内における重要な地点。

 景観重要建造物 法第19条第1項に規定するもの。

 景観重要樹木 法第28条第1項に規定するもの。

 景観重要公共施設 法第8条第2項第4号ロに規定するもの。

(8) 景観箇所 景観地区,景観地点,景観建造物,景観樹木,景観公共施設の総称で,次に定めるとおりとする。

 景観地区 景観計画区域内における留意すべき地区。

 景観地点 景観計画区域内における留意すべき地点。

 景観建造物 景観重要地区又は景観地区内にある主要な建造物で,一定以上の規模を有するもの。

 景観樹木 地域の自然,歴史,文化などからみて,樹容が景観上の特徴を有し,景観計画区域内の良好な景観の形成において留意すべきものかつ,道路その他の公共の場所から公衆によって容易に望見されるもの。

 景観公共施設 法第8条第2項第4号ロで定める公共施設のうち,良好な景観の形成のために留意すべきもの。

(目標及び方針)

第3条 町は,次の各号に定める景観計画の目標に基づき,景観まちづくりを推進する。

(1) 美しい景観形成と地域課題を同時解決する景観まちづくり。

(2) 森林資源の活用による美しい景観まちづくり。

(3) 持続的な循環型社会づくりの推進力となる景観まちづくり。

2 町は,次の各号に定める景観形成の方針に基づき,景観形成を推進する。

(1) 町の自然・風土・暮らしと調和した良好な景観の形成と人が手を加えないままの良好な自然景観の保全に取り組む。

(2) 林業・農業等による生業景観は,町にとって重要な景観の構成要素であり,地域が持続できる生業景観の形成に取り組む。

(3) ゴミを出さない社会を目指す町のゼロ・ウェイストの理念を実現するため,脱炭素・生物多様性の視点から環境共生型の景観形成に取り組む。

(4) 町・町民等のすべてが主体となる実行型・協動型の景観形成に取り組む。

(5) 町の景観形成にあたり,積極的に木材資源や自然素材の利用を促進する。

(6) 町の景観形成は,地域の社会課題と環境課題を同時に解決する持続可能な開発目標SDGs(Sustainable Development Goals)の観点から推進する。

3 町は,景観計画の推進において,徳島県が定める条例や指針等を重視し,これらの内容を推進する。

(町の責務)

第4条 町は,持続可能な美しい景観形成を推進するため,総合的な施策を策定し,これを実施するものとする。

2 町は,前項の施策の計画・実施にあたっては,町民等の意見要望を反映するよう努めるものとする。

3 町は,公共施設等の整備を行う場合には,良好な景観の形成のために先導的な役割を果たすよう努めるものとする。

4 町は,良好な景観の形成に関し,町民等の意識を高めるために,啓発活動や情報の提供等の必要な措置を講ずるものとする。

5 町は,良好な景観の形成に資する活動を行う町民等の支援に努めなければならない。

(町民等の責務)

第5条 町民等は,自らが景観を形成する主体であることを認識し,互いに協力して積極的に良好な景観の形成に寄与するように努めるものとする。

2 町民等は,町が実施する良好な景観の形成に関する施策に協力するよう努めるものとする。

第2章 景観計画

(景観計画の策定)

第6条 町長は,第1条及び第3条により,良好な景観の形成を総合的かつ計画的に推進するため,法第8条第1項に規定する景観計画(以下「景観計画」という。)を策定するものとする。

2 法第8条第2項第1号に規定する景観計画区域は,町全域とする。

3 上勝町樫原地区景観条例の適用区域においては,樫原地区景観計画を適用する。

(策定の手続き)

第7条 町長は,景観計画を策定し,又は変更しようとするときは,法第9条に定める手続きのほか,あらかじめ第24条第1項に規定する審議会の意見を聴かなければならない。

第3章 景観法に基づく行為の制限等

(重要箇所等)

第8条 町長は,景観計画区域内において,良好な景観の形成を推進する上で重要であると認める箇所を景観重要箇所及び,景観箇所として指定することができる。

(届出対象行為)

第9条 法第16条第1項第4号の条例で定める行為は,次に掲げる行為とする。

(1) 土地の開墾,土石の採取,鉱物の掘採その他の土地の形質の変更。

(2) 木竹の伐採又は植栽。

(3) 屋外における土石,廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定する廃棄物をいう。),再生資源(資源の有効な利用の促進に関する法律(平成3年法律第48号)第2条第4項に規定する再生資源をいう。),その他の物件の堆積。

(4) 水面の埋立て又は干拓。

(5) その他景観に影響を与える行為で町長が必要と認めるもの。

2 法第16条第1項の規定による届出は,法第16条第1項に規定する事項を記載した届出書に規則で定める図書を添付して行わなければならない。

(届出対象行為の適用除外)

第10条 国及び地方公共団体等が行う事業のための行為については,条例第9条に定める届出を要しない。この場合において,これらの事業を行う当該国又は地方公共団体等はその行為をしようとするときは,あらかじめ町長に通知するものとする。(法第16条第5項)また,町長は必要があると認めるときは,公共施設等の管理者等に協議を求めることができる。(法第16条第6項)

2 法第16条第7項第11号の条例で定める行為は,次に掲げる行為とする。

(1) 景観計画区域又は景観重要箇所・景観箇所が指定され,又はその区域等が拡張された際,既に着手している行為。

(2) 法第16条第1項各号に規定する届出を要する行為で,規則で定める規模以下のもの。

(届出にかかる勧告等の手続)

第11条 町長は,法第16条第3項の規定による勧告又は法第17条第1項の規定による命令をしようとする場合は,あらじめ審議会の意見を聴かなければならない。

(特定届出対象行為)

第12条 法第17条第1項の条例で定める行為は,法第16条第1項第1号及び第2号に掲げる行為とする。

(景観阻害物件等の所有者等に対する要請)

第13条 町長は,景観計画区域内における良好な景観の形成を阻害するものであると認められる建築物,工作物その他の物件があるときは,当該物件の所有者,管理者及び権限に基づく占有者(以下「所有者等」という。)に対し,良好な景観の形成に関し必要な措置を講ずるよう要請することができる。

(行為完了等の報告)

第14条 法第16条第1項による届出又は同条第5項の規定による通知をした者は,当該届出及び通知に係る行為を完了し,又は中止したときは町長にその旨を報告しなければならない。

第4章 景観重要建造物及び景観重要樹木

(景観重要建造物及び景観重要樹木の指定の手続)

第15条 町長は,法第19条第1項の規定に基づき景観重要建造物(以下「景観重要建造物」という。)又は,法第28条第1項の規定に基づき景観重要樹木(以下「景観重要樹木」という。)の指定をしようとするときは,あらかじめ審議会の意見を聴かなければならない。

2 町長は,景観重要建造物又は景観重要樹木を指定したときは,その旨を告示するものとする。

3 前2項の規定は,景観重要建造物又は景観重要樹木の指定の解除について準用する。

(現状変更の許可の手続)

第16条 景観重要建造物において,次に掲げる行為を行おうとする者は,法第22条第1項の規定により町長の許可を受けなければならない。

(1) 景観重要建造物の増築,改築,移転若しくは除却。

(2) 景観重要建造物の修繕,模様替又は色彩の変更でその外観を変更することとなるもの。

2 景観重要樹木において,次に掲げる行為を行おうとする者は,法第31条第1項の規定により町長の許可を受けなければならない。

(1) 景観重要樹木の伐採又は移植。

3 町長は,前2項の許可の申請があった場合において,良好な景観の保全のため必要があると認めるときは,許可に必要な条件を付することができる。

(許可の基準)

第17条 町長は,前条第1項各号に掲げる行為が景観重要建造物の外観の保全に支障があると認めるときは,前条第1項各号の許可をしてはならない。

2 町長は,前条第2項第1号に掲げる行為が景観重要樹木の外観の保全に支障があると認めるときは,前条第2項第1号の許可をしてはならない。

(景観重要建造物の管理の方法と基準)

第18条 法第25条第2項の規定により条例で定める管理の方法の基準は,次に掲げる各号とする。

(1) 景観重要建造物の修繕を行う場合には,修繕前の外観を変更しないよう努めること。

(2) 景観重要建造物の滅失を防ぐため,その敷地,構造及び建築設備の状況を定期的に点検すること。

(3) 前2号に掲げるもののほか,町長が必要と認める措置を講ずること。

(景観重要建造物の管理に関する勧告等の手続)

第19条 町長は,法第26条の規定による必要な措置を命じようとする場合,又は勧告しようとする場合において,必要があると認めるときは審議会の意見を聴くことができる。

第5章 景観重要公共施設,景観重要地区等

(景観重要公共施設)

第20条 景観公共施設の対象は,次に掲げる施設から選定する。

(1) 法第8条第2項第4号ロに規定する特定公共施設。

(2) 町長が定める特定公共施設に関連する施設。

2 景観公共施設の選定の方針,整備に関する事項等は要綱で定める。

(景観重要地区,景観地区等)

第21条 景観重要地区,景観重要地点の指定の方針,整備に関する事項等は要綱で定める。

2 景観地区,景観地点,景観建造物,景観樹木の指定の方針,整備に関する事項等は要綱で定める。

第6章 表彰及び助成等

(表彰)

第22条 町長は,良好な景観の形成に寄与していると認める集落景観,又は建築物,工作物その他の物件について,その所有者,設計者,施工者及びその他の関係者を表彰することができる。

2 前項に規定するもののほか,町長は,良好な景観の形成に関する活動を推進している者及び貢献している者を表彰することができる。

(助成等の行政支援)

第23条 町長は,良好な景観の形成に著しく寄与すると認める行為に対し,助成等の財政支援,材料支給などの行政支援を行うことができる。

2 行政支援の詳細は要綱で定める。

第7章 上勝町景観審議会

(上勝町景観審議会の設置)

第24条 町長の諮問に応じ,良好な景観の形成に関する重要な事項について審議するため,上勝町景観審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会の組織及び運営に関し必要な事項は,規則で定める。

第8章 雑則

(委任)

第25条 この条例の施行に関し必要な事項は,規則で定める。

この条例は,令和元年10月1日から施行する。

上勝町木づかいの景観まちづくり条例

令和元年9月20日 条例第13号

(令和元年10月1日施行)

体系情報
第9編 産業経済/第2章 農林水産/第1節
沿革情報
令和元年9月20日 条例第13号