○上勝町議会基本条例

平成23年9月30日

条例第12号

(前文)

上勝町議会は,多様化する町民の意思を的確に把握し,町民全体の福祉と安心安全の増進,向上の責任を有する。

町民に選ばれた議員は,議会を構成し,町長とともに上勝町の二元代表制の一翼を担い,重要な意思決定をする。

議会は,町民の負託にこたえるために,地域における民主主義の発展と,政策決定及び監視機関であるという権能を充分に駆使して,自由闊達な討議をとおして,政策等の論点,争点を明らかにし,最良の意思決定をするのが使命である。

このため,議員は,積極的な情報の公開と共有,政策活動への多様な町民参加の推進,議員間の闊達な討議の展開,町長等の行政機関との緊張関係の保持,自己研鑽と品位と品格をもって活動する。

よって,上勝町議会は,議会活動の公正性と透明性の確保,議会活動を支える体制の整備等について定め,議会運営のルールを明確にして実践することにより,町民に信頼され,町民に対する責務を果たすため,ここに,この条例を制定する。

第1章 目的

(目的)

第1条 この条例は,分権と自治の時代にふさわしい,町民に身近な政府としての議会及び議員の活動の活性化と充実のために必要な議会運営の基本事項を定めることによって,町政の情報公開と町民参加を基本にした上勝町の持続的で豊かで住みよい町づくりの実現に寄与することを目的とする。

第2章 議会・議員の活動原則

(議会の活動原則)

第2条 議会は,町民主権を基礎とする町民の代表機関であることを常に自覚し,公正性,透明性,信頼性を重んじた町民に開かれた議会及び町民参加を不断に推進する議会を目指して活動する。

2 議会は,議会が,議員,町長,町民等の交流と自由な討論の広場であるとの認識に立って,その実現のために努力する。

3 議長は,町民が自由かつ積極的に会議を傍聴できるように努める。

4 この条例に規定するほか,別に定める上勝町議会会議規則(平成3年議会規則第1号),申し合わせ事項,慣例等は常に見直しを行う。

(議員の活動原則)

第3条 議員は,品位と名誉を重んじ,会議での言動,行動に対して品位を疑われることのないように努める。

2 議員は,議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分に認識し,議員相互間の自由な討議の推進を重んじる。

3 議員は,町政の課題全般について,課題別及び地域別等の町民の意見を的確に把握するとともに,自己の能力を高める不断の研鑽によって町民の選良にふさわしい活動をする。

4 議員は,個別的な事案の解決だけではなく,町民全体の福祉の向上を目指して活動をする。

第3章 町民と議会の関係

(町民参加及び町民との連携)

第4条 議会は,議会の活動に関する情報公開を徹底するとともに,町民に対する説明責任を十分に果たす。

2 議会は,本会議のほか,常任委員会,特別委員会を原則公開するとともに,議会主催の一般会議を設置するなど,会期中又は閉会中を問わず,町民が議会の活動に参加できるような措置を講ずる。

3 議会は,常任委員会,特別委員会の運営に当たり,参考人制度及び公聴会制度を十分に活用して,町民の専門的又は政策的識見等を議会の討議に反映させる。

4 議会は,町民による請願及び陳情は政策提案と位置づけるとともに,その審議においては,これら提案者の意見を聞く機会を設けるよう努める。

5 議会は,町民,町民団体,NPO等との意見交換の場を多様に設けて,議会及び議員の政策能力を強化するとともに,政策提案の拡大を図る。

6 議会は,全ての議案に対する議員の態度を議会広報で公表する等,議員の活動に対しての町民の評価が的確になされるよう情報の提供に努める。

第4章 町長と議会の関係

(町長等と議会及び議員の関係)

第5条 議会の本会議における議員と町長及び執行機関の職員(以下「町長等」という。)の質疑応答は,広く町政上の論点,争点を明確にするため,一般質問は一問一答の方式で行う。

2 議長から本会議及び常任委員会,特別委員会への出席を要請された町長等は,議員の質問に対して議長又は委員長の許可を得て,質問に対する論点整理の反問をすることができる。

(町長による政策等の形成過程の説明と審議)

第6条 町長は,議会に政策等を提案するときは,その水準を高めるため,次に掲げる政策決定の過程を説明するよう努める。

(1) 政策等の発生源,提案に至るまでの経緯

(2) 検討した他の政策案等の内容

(3) 他の自治体の類似する政策との比較検討

(4) 総合計画における根拠又は位置づけ

(5) 関係ある法令及び条例等

(6) 政策等の実施にかかわる財源措置

(7) 将来にわたる政策等のコスト計算

2 議会は,前項の政策等の提案を審議するに当たっては,それらの政策等の水準を高める観点から,立案,執行における論点,争点を明らかにするとともに,執行後における政策評価に資する審議に努める。

(予算・決算における政策説明資料の作成)

第7条 町長は,予算案及び決算を議会に提出し,議会の審議に付すに当たっては,前条の規定に準じて,分かりやすい施策別又は事業別の政策説明資料を作成するように努める。

第5章 自由討議の活性化

(議会討議による合意形成)

第8条 議会は,議員による討論の広場であることを十分に認識し,議長は,町長等に対する本会議等への出席要請を必要最小限にとどめ,議員相互間の自由討議を中心に運営する。

2 議会は,本会議及び各委員会等において,議員提出議案,町長提出議案及び町民提出提案等に関して,議員相互間の自由討議で十分に審議し,合意形成に努め,町民に説明責任を果たす。

3 議員は,前2項の自由討議に基づき政策,条例の立案を積極的に行うように努める。

第6章 委員会の活動

(委員会活動)

第9条 委員会審査に当たっては,資料等を公開し,町民に対して分かりやすい議論と説明を行うよう努める。

2 委員長は,委員会秩序保持に努め,委員会報告を自ら作成し,責任を持って質疑に対する答弁を行う。

第7章 議会及び議会事務局の体制整備

(議会研修の強化)

第10条 議会は,議員の政策立案能力向上のため,議員研修の充実強化を図る。

2 議会は,議員研修の強化に当たり,幅広い分野の知識,情報の取得のため,議員研修会を年1回以上開催する。

3 この条例の理念を議員相互間で共有するため研修報告会を開催する。

(議会事務局の体制整備)

第11条 議長は,議員の政策立案能力を支援するため,事務局の調査・法制機能をはじめとした組織の強化を図る。また,必要に応じ,執行機関の法制機能の活用等を考慮する。

(議会広報の充実)

第12条 議会は,議会活動における情報を町民にわかりやすく周知する。

2 ITを含む多様な広報手段で,町民が議会と町政に関心を持つよう議会広報活動に努める。

第8章 議員の政治倫理,身分,待遇

(議員の政治倫理)

第13条 議員は,町民全体の代表者として,その倫理性を常に自覚し,自己の地位に基づく影響力を不正に行使することによって,町民の疑惑を招くことのないよう行動する。

2 議員は,倫理条例を規範として遵守する。

(議員定数)

第14条 議員の定数(以下「議員定数」という。)は,別に条例で定める。

2 議員定数の改正に当たっては,行財政改革の視野だけでなく,町政の現状,課題及び将来の予測と展望を十分に考慮し,町民を含む第三者機関(学識経験者等)による議会及び議員活動の客観的な評価等を参考に努める。

3 議員定数の条例改正案は,町民の直接請求による場合及び町長が提出する場合を除き,議員が提出し,改正理由の説明をする。

(議員報酬)

第15条 議員の報酬(以下「議員報酬」という。)は,別に条例で定める。

2 議員報酬の改正に当たっては,行財政改革の視野だけでなく,町政の現状,課題及び将来の予測と展望を十分に考慮し,町民を含む第三者機関(学識経験者等)による議会及び議員活動の客観的な評価等を参考にするよう努める。

3 議員報酬の条例改正案は,町民の直接請求による場合及び町長が提出する場合を除き,議員が提出し,改正理由の説明をする。

(最高規範性)

第16条 この条例は,議会における最高規範であり,議会に関する他の条例,規則等を解釈し,又は制定し,若しくは改廃するに当たっては,この条例の趣旨を尊重し,この条例に定める事項との整合性の確保を図らなくてはならない。

2 議会は,議員にこの条例が周知徹底されているか定期的に議会運営委員会で検証する。

3 議会は,新たに生ずる議員の任期開始後,できるだけ速やかにこの条例の研修を行う。

(議会及び議員の責務)

第17条 議会及び議員は,この条例に定める理念及び原則並びにこれらに基づいて制定される条例,規則,規程等を遵守して議会を運営し,もって町民を代表する合議制の機関として,町民に対する責任を果たす。

(見直し手続)

第18条 議会は,議会運営がこの条例の目的,原則等に即して行われているかどうかを不断に点検し,必要と認める場合は,この条例の改正その他必要な措置を講ずる。

2 議会は,前項による検討の結果,この条例を改正する場合は,全議員の賛同する改正案であっても,本会議場において,改正の理由及び背景を分かりやすく説明をする。

この条例は,平成23年10月1日から施行する。

(令和5年3月17日条例第13号)

この条例は,公布の日から施行する。

上勝町議会基本条例

平成23年9月30日 条例第12号

(令和5年3月17日施行)

体系情報
第2編
沿革情報
平成23年9月30日 条例第12号
令和5年3月17日 条例第13号