熱中症を防ぐ  上勝町診療所 武市和憲

公開日 2011年02月24日

梅雨が明け、いよいよ本格的な夏が到来しました。今回は新聞テレビでもとり上げられることの多くなった熱中症についてまとめてみたいと思います。

熱中症とは、暑い環境で発生する障害の総称で、急に暑くなったときに多発します。梅雨の合間にとつぜん気温が上昇した日や梅雨明けの蒸し暑い日などには事故が起こりやすいので注意が必要です。

熱中症は主に熱失神、熱痙攣、熱疲労、熱射病の4つの病態に分類されています。

病 型


・熱失神(日射病):脱水による症状で、脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気、一過性の意識消失などがみられる。炎天下での発症が多い。体温上昇はないことが多い。
・熱ケイレン:大量に汗をかいたときに水だけしか補給しなかったため、血液の塩分濃度が低下して、足、腕、腹部の筋肉に痛みをともなったけいれんがおこる。体温上昇はないことが多い。
・熱疲労:主に脱水による症状で、脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気などがみられる。体温上昇がみられる。
・熱射病:体温の異常な上昇によって中枢機能に異常をきたした状態。意識障害(反応が鈍い、言動がおかしい、意識がない)がおこり、死亡率が高い最も重症な状態。高度の体温上昇にもかかわらず発汗がない。

予 防


予防としてまずは、吸湿性・通気性の良い素材でできた、涼しい服装をすることです。服装の色も、熱を吸収しにくい白っぽいものを選びましょう。日傘や、帽子なども効果的です。 その上で、きちんと水分補給をすることを心がける必要があります。
体重の3%以上の水分が失われると、体温調節に影響が出るといわれています。

治 療


・ 熱失神、熱疲労の場合:涼しい場所に運び、衣服をゆるめて寝かせ、水分を補給すれば通常は回復します。足を高くし、手足を末梢から中心部に向けてマッサージするのも有効です。吐き気やおう吐などで水分補給できない場合は、病院で点滴を受ける必要があります。
・熱ケイレンの場合:塩分を含む飲み物を補給したり、生理食塩水の点滴をしたりすれば、通常は回復します。
・熱射病の場合:死亡する可能性の高い緊急事態です。体を冷やしながら、集中治療のできる病院へ一刻も早く運ぶ必要があります。いかに早く体温を下げて意識を回復させるかが予後を大きく左右します。

体温を下げるには、水をかけたり濡れタオルを当てて扇ぐ方法、頚、脇の下、足の付け根など太い血管のある部分に氷やアイスパックをあてる方法が効果的です。
いずれにしても、暑い日中の屋外での作業や、屋内であっても高温多湿下の長時間休憩なしでの作業は非常に危険です。
特に幼児や高齢者は体力的にも弱く注意が必要です。また、高齢者は基礎疾患を合併していることも多いため、重症化したり、脱水から脳梗塞や心筋梗塞を発症したりしやすく十分な注意が必要です。
予防に心がけ、異変を感じたら早めに医療機関を受診してください。

お問い合わせ

本庁 住民課
TEL:0885-46-0111