心房細動と脳梗塞  上勝町診療所 木下英孝

公開日 2011年02月24日

心房細動とは


心臓は本来、規則正しく拍動して全身に血液を送るポンプの役割をしています。心房細動は、脈拍の間隔がバラバラになる不整脈です。加齢とともに発病しやすくなり、40歳代では1%程度ですが、70歳代で5%、80歳代で10%程度の人にみられます。主な自覚症状は「動悸」ですが、まったく気づかない人も少なくありません。

心房細動の原因


心臓弁膜症や心筋梗塞、高血圧症、糖尿病、甲状腺機能亢進症などが原因となって起こりますが、原因不明の場合もあります。  生活習慣も大きく関係しています。飲酒、喫煙、肥満、睡眠不足、過労、ストレスなどは、「発作性心房細動」の引き金になります。繰り返していると、慢性の「持続性心房細動」になってしまいます。

心房細動の合併症


心房細動は、合併症が問題です。もっとも心配な合併症は「脳梗塞」です。心房細動は、心房という心臓の部屋が小刻みに震えるので、そこで血液の流れがよどみ、血液が固まり血栓ができやすくなります。その血栓が血液の流れに乗って脳の血管につまると「脳梗塞」になるのです。  また、不整脈のため心臓の動きが悪く、心臓が大きくなってきます。心臓が大きくなると、ますます動きが悪くなり、心不全が進行しやすくなります。

心房細動の早期発見のために


心房細動は、自覚症状が無い場合が少なくありません。早期発見のためには、毎日の血圧測定が有効です。同時に「脈拍数」も記録してください。「今日の血圧はいつもより極端に低かった」あるいは「脈拍数がえらい多かった」ということで外来を受診し、「心房細動」と診断されるケースが結構あります。「いつもと違う」ということに「気づく」ということが、早期発見につながるのです。

治療法は?


一時的に起こる「発作性心房細動」は、抗不整脈薬で正常にもどる可能性はありますが、再発率は高いようです。慢性の「持続性心房細動」の場合は、心不全予防と脳梗塞予防のための治療が重要になります。心不全予防のためには、心拍数のコントロールが重要です。脳梗塞予防のためには、血液をさらさらにする「抗凝固薬」や「抗血小板薬」を使用します。  心房細動の診断を受けたら、症状が無くても放置せず、合併症予防のためにしっかり治療を続けましょう。

日常生活での注意点


○ストレスをためない。
○睡眠時間を十分にとる。
○タバコは吸わない。
○ アルコールは控えめに。
○定期健診を受ける。
○毎日、血圧と脈拍を測定する。
○通院治療をつづける。

お問い合わせ

本庁 住民課
TEL:0885-46-0111