大腸ポリープ  上勝町診療所 武市和憲

公開日 2005年12月01日

健診で便潜血検査を受けられた方も多いと思いますが、今回は頻度の高い疾患のうち、大腸ポリープについてお話ししたいと思います。

大腸粘膜に隆起する病変をまとめて大腸ポリープといいます。ポリープの約4分の3は直腸とS状結腸という肛門に近い側の大腸に高率に発生しています。その種類は大きく腫瘍性と非腫瘍性に分けられ、そのうち腫瘍性のものは腺腫(せんしゅ)といわれ、大腸ポリープの約8割を占めるといわれています。腺腫は数年かけて大きくなり、そのうちの一部分が大腸癌に進行します。

大腸ポリープは、40歳代から増えはじめ、年齢が上がるほどできやすくなります。自覚症状がないため気づかない人が多いのですが、60歳代になると2人に1人がポリープを持っているとも言われます。
日本では、大腸ポリープも大腸がんも増加の一途をたどっています。これは、日本人の食生活が欧米化、つまり動物性脂肪の摂取量が増加し、植物繊維の摂取量が減少したことが一因と考えられています。

診断として最も簡単なのは健診でも広く行われている便潜血検査です。違う日の便を2回それぞれとって調べ、一回でも陽性であれば異常と診断します。便潜血検査は大腸癌では約8割で陽性に出るとされていますが、大きさが1cmまでのポリープでは陽性率は5割程度とされており、必ずしも100%診断できるわけではありません。

注腸検査は肛門から造影剤(バリウム)を注入してX線写真を撮影して診断します。欠点として小さな便が残っていた場合、ポリープとの区別がつきにくいことや、平坦な病変は見落としやすいことなどがあります。

大腸内視鏡検査は最も診断能力に優れている検査で、ポリープ表面の模様を詳しく観察したり、病変があれば組織を採取したりして詳しく調べることが可能です。注腸検査を受けた人のうち約6割の人が異常を疑われ大腸内視鏡が必要と診断されたとの報告もあり、最近は便潜血検査で異常を指摘されたり、以前に大腸ポリープを指摘されたりしたことのある人や、症状から大腸の疾患が疑われる場合には最初から大腸内視鏡検査を行うことが多くなってきました。

隆起型で大きさが5mm未満のポリープでは癌化のリスクが低いとされていますが、それ以上の大きなポリープで腺腫の疑いがあるものは癌化する可能性があり、内視鏡的切除術などの治療が勧められます。また最近では小さくても平坦で早期に癌化するようなタイプのものも見つかるようになってきており治療の適応となります。

大腸内視鏡検査はどの医療機関でも外来で一般的に行われている検査で決して特殊な検査ではありません。しかし人によっては苦痛もあり、危険性などもないわけではありません。詳しい検査の方法を聞き、主治医とよく相談し、検査の必要性を理解したうえで、検査を受けてください。

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