かぜ症候群  上勝町診療所 武市和憲

公開日 2011年02月24日

今年もこの季節、かぜ症状を訴えて来院される方が増えています。またインフルエンザも流行の兆しを見せています。今回は誰でもかかったことのある「かぜ」についてのお話です。

かぜは、そのほとんどが吸器への感染でおこる病気です。原因の約90%はウイルスで、なんと200種類以上もあり、ウイルスの種類により若干症状に差があるものの、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・のどの痛み・咳・痰などに加え、発熱・頭痛・全身倦怠感・食欲不振などの全身症状(時に、嘔吐や下痢などの胃腸症状)を伴うという点では共通しているので、一括して「かぜ症候群」と呼んでいます。

インフルエンザもかぜ症候群の一つですが、高齢者、乳幼児や基礎疾患のある方には命に関わることもあるため、流行前には予防接種を行い、万が一感染してしまった場合には抗インフルエンザ薬を早期に投与します。確定診断には迅速診断キットなどで診断する必要があります。

治療ですが、現時点ではウイルスをやっつける薬はないので(インフルエンザは例外)、症状を緩和する治療とかぜのウイルスで傷害された気道から細菌などが二次的に感染して起こる合併症の予防が中心となります。よく注射を希望される方がいますが注射をしたからといって、かぜが早く治ると言うことはありません。通常のかぜは内服薬で十分であり、むしろ内服薬の方が種類も多く、治療効果も上と考えられます。また抗生物質は、明らかな細菌感染症の場合を除き、治療効果・副作用の点からも必要とは言えません。

またかぜ気味と言うだけで、はっきりした症状もないのに、かぜ薬を飲むケースも見られますが、「百害あって一利無し」です。薬である以上何らかの副作用を持っていますので、必要のない成分により副作用だけが出てしまったり、熱が出ているのか出ていないのか(熱型)を不鮮明にしてしまったりするなどの好ましくない結果がもたらされてしまう事もあります。かぜ薬を予防的に飲んで、かぜを未然に撃退したなどという事はありえませんので自己判断での安易な服用は避けるべきでしょう。

気をつけなければならないことはかぜから肺炎に進行したり、かぜに似た症状でも、全く別の病気だったりする事です。発見の遅れが文字通り「命取り」になる事も無いとは言えないのです。特に免疫力や体力のない幼児や高齢者では、注意が必要です。軽く考えず早めに医療機関を受診することをおすすめいたします。

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