尿失禁  上勝町診療所 武市和憲

公開日 2011年02月24日

正常では無意識の状態で尿を膀胱に保持(畜尿)し、尿意を覚えた時、または尿意を覚えなくとも意識的に尿を排出(排尿)する事ができます。
尿失禁とはこれらの機能が損なわれ、自分の意志とは関係なく尿がもれてしまう状態を指し、これにより社会的・衛生的に支障を生ずるものと定義づけられています。 ほとんどの年齢層で、男性より女性に多くみられます。
尿失禁はさまざまな合併症を引き起こします。たとえば、尿失禁を適切に処置しないと、膀胱や腎臓の感染症につながります。また特に高齢者では、尿が皮膚を刺激するために皮膚の発疹や床ずれができたり、急いでトイレに行こうとして転倒するなどの危険も増します。
尿失禁は一過性と慢性に分かれますが、問題になるのは慢性のものです。慢性尿失禁は大きく別けると、次の四つに分類されます。

(1)腹圧性尿失禁…クシャミなどによる生理的な反射や階段の昇り降りなどの動作がきっかけとなり、お腹に圧力が加わったときにおきる。女性に多い。
(2)切迫性尿失禁…前ぶれもなく尿がしたくなり、その高まりが急なため、トイレまで間に合わなくなって尿が出てしまう。 高齢者 に多い。
(3)溢流性(いつりゅうせい)尿失禁…ダムの水が溢れるように、ぱんぱんにふくれた膀胱から尿が溢れる。排尿障害を起こす何らかの原因が存在する。
(4)機能性尿失禁…身体運動障害の低下や認知症が原因でおこる。

検査は問診、尿検査、血液検査、超音波検査などを行いますが、診断が難しい場合は専門的な検査が必要になることもあります。
その他にも、糖尿病や心疾患等の内科系疾患、婦人科系疾患、腹部手術の既往、薬剤、アルコール、便秘、精神的な要因などでも頻尿を起こす場合もあり注意が必要です。
検査の結果、他に原因となる疾患が存在しない場合、治療として、膀胱の緊張を抑える薬などを内服します。また腹圧性尿失禁に対しては 尿の出口の筋肉である骨盤底筋群を鍛える「 骨盤底筋体操」が効果があるとされています(詳しくは医療機関などで聞いてみて下さい。)
日常生活では 水分摂取は大切ですが、コーヒーや濃いお茶などは控えた方がよいでしょう。  また、 肥満は便秘同様、膀胱を圧迫したり、骨盤底筋を締めにくくする原因になります。運動しながら、食事をよく噛んで食べる量をへらします。バランスのよい食事を心掛けながら長く時間をかけて体重を落としましょう。

お問い合わせ

本庁 住民課
TEL:0885-46-0111