認知症を知る 上勝町診療所 武市和憲

公開日 2011年02月24日

単なる「もの忘れ」は誰にでもあることですが、「認知症」は「脳や身体の疾患を原因として、記憶・判断力などの障害がおこり、普通の社会生活が送れなくなった状態」のことです。つまり 生活が困難となった状態 という点が重要です。今回はこの認知症についてのお話しです。

 

認知症とはある一つの病気ではなく、様々な原因となる疾患により起こります。そのほとんどが「アルツハイマー病」と「脳血管性障害」の2つによるものです。

 

アルツハイマー病とは、いまのところ原因は不明ですが、脳の神経細胞が急激に減り、脳が病的に萎縮して高度の知能低下や人格の崩壊がおこる病気です。ゆっくりと発症、悪化し、本人は病気だという自覚がないのが特徴です。症状としては、古いことは覚えていますが、新しい出来事が覚えにくく、忘れやすいという特徴があります。さらに時間、場所、人物の判断がつかなくなります。

 

一方、脳血管障害による認知症は、脳の血管が詰まったり破れたりすることによって、その部分の脳の働きが悪くなっておこります。症状としては、記憶障害の他に頭痛、めまい、耳鳴り、しびれ等がみられることがあり、脳に障害がおこるたびに段階的に急に悪化することが多いとされています。また、障害された脳の場所によって、ある能力は低下しているが別の能力は比較的保たれているという様に「まだら状」に脳の機能が低下するのが特徴です。

 

認知症の予防として確立した方法があるわけではありませんが、バランスの取れた食事、規則正しい生活、興味・好奇心・おしゃれ心を忘れない、会話を楽しむ、くよくよしない、などが予防につながると考えられます。なお、脳血管障害の予防については生活習慣病の改善が重要であることは言うまでもありません。

 

認知症と一言に言っても原因によってはその治療で改善する場合や、症状のよく似た別の病気もあります。また、もし症状が出現し始めたとしても、適切な対応を行い、様々な介護サービスをうまく利用することで、本人の状態の安定と、家族の負担を軽減することにつながります。

 

本人自身は病気に対する自覚のない場合もありますので、ご家族の方は、普段と様子が違うと感じたら、まずは医療機関や介護分野のスタッフに相談してみてください。認知症の患者さんは、ご家族以外にはよそ行きの顔を見せることも多いようです。ご家族でしか分からない症状も多いので、日頃の様子をしっかりと伝えてください。

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